特別講義ー未来のデザインー エクスペリエンスデザインによる価値の創出

2017.6.19 第9回の講師の方は井登友一さんです。

本日の講義内での事例紹介、学びと自分なりの考えを以下にまとめました。

 

井登友一 / Yuichi Inobori

- 株式会社インフォバーン 取締役 京都支社長

ユーザー中心発想によるマーケちぃんぐコミュニケーション領域のコンサルティング事業に従事。インフォバーン入社後、企業とユーザー双方にとって幸せを生む最良のコミュニケーションを主にデジタル領域において設計・デザインする支援事業に注力。

日本プロジェクトマネジメント協会(PMAJ)認定 プロジェクトマネジメントスペシャリスト(PMS)人間中心設計推進機構(HCD-Net)認定 人間中心設計スペシャリスト

 

ー事例紹介

・”経験=価値”

現在世界中で使われているサービス(Google,Amazon,Facebook,Uber等)に共通することは「モノではなく経験を提供している」ことである。その企業が作っているモノがなく運営している。これらの企業は場(プラットフォーム)と体験(経験)だけを提供している。

・モノから経験へ

コモディティ → 製品 → サービス → 経験 → システム  と提供されるものの価値が変化してきた。コモディティからサービスまでの流れは services と数えられる小さなものであったが、経験からシステムは service と大きく包括的なものになった。経験は人々がわざわざ選んで高いコストを払ってでも得たいものである。

・価値の支配論理の転換

グッズ・ドミナント・ロジック(GDL)→  サービス・ドミナント・ロジック(SDL)への転換。GDLではモノとサービスを切り離すことができたが、SDLではサービスの中にものが含まれ一体化している。SDLはサービスデザインの根幹にあり、使用価値・経験価値を提供するものである。

・サービス・ドミナント・ロジックの例

1.複合コピー機:ユーザーのデータを収集し、分析することで事前に壊れることを予測しサービスを提供する。ユーザーデータの提供とサービスの提供によりお互いの価値を交換でき、価値共創が生まれる。

2.スマートフォン:端末自体に価値があるのではなく、それを通して提供されるアプリに意味があり重要になって来る。

3.カーシェア:車を所有することではなく、使用する体験に価値が生まれる。

4.kindle:他のタブレットと差別化し快適にコンテンツを楽しめる。

5.医療機器:モニタリングしデータをとることで壊れる前にアップデートすることができる。

これらは対価と引き換えに消えていく価値(消費)から共創していく価値になってきた。

 

ー講義からの学びと気づき

イノベーション・トライアングル

→ 何ができるか(技術)・何が望ましいか(ユーザの喜び)・何が現実的か(市場性)

今までの日本は技術と市場性を追い求めた結果、多機能化・低価格化が起きてしまった。そこで、ユーザーの声を聞くようにしたが、聞いたことを反映しすぎてしまったためテレビのリモコンのような複雑なものが出来てしまった。

このように生活者に今欲しいものを聞いても本当のニーズは見つからない。なぜなら、生活者は目の前にないものは思い描けないため、本当のニーズを自覚して言えるのは5%ほどしかないからである。

ユーザー調査の大切さは今までの演習授業でも学んでいましたが、自覚していない本当のニーズを見つけ出す難しさと重要性を改めて認識しました。本質的ユーザー理解の先にあるのは理解より共感であるということが分かりました。

・ユーザー中心:誰にどんな価値があるか

作り手の都合から脱却しユーザー中心でものを作ること、企業のゴールとユーザーのゴールを合わせていくことが必要である。また、「誰に、どんな価値を、どのように提供するか」を適した手法を用いて実現することが大切である。

・インプット:隠れたニーズ と アウトプット:分かりやすい表現

インプットとアウトプットの2つを合わせたインサイト(洞察)で、発見や感動を生む無意識を理解しようとすることが大切である。

 

本講義で一番残った言葉は「ユーザーの先回りをし、嫌な思いをさせずに提供する。」というものです。自分もこれを実践できるようになりたいです。

 

以上、井登友一さんの講義まとめでした。ありがとうございました。