特別講義ー未来のデザインー インフォグラフィックスデザインと当事者デザイン
2017.6.12 第8回の講師の方は富田誠さんです。
本日の講義内での事例紹介、学びと自分なりの考えを以下にまとめました。
富田誠 / Makoto Tomita
・経歴
1982年北海道生まれ。
早稲田大学大学院 国際情報通信研究科、修了。
二つのシステム・デザイン会社を設立し、早稲田大学政治学研究科助手を経て
現在、東海大学教養学部専任講師、早稲田大学大学院政治学研究科 非常勤講師、
一般社団法人 サイエンス・メディア・センター及び
一般財団法人 ニッポンドットコムのシステム・デザインアドバイザー
経済産業省のインフォグラフィックスプロジェクト「ツタグラ」アドバイザリーボー
ドメンバー等を務める。
ー事例紹介
・大学時代は「デザインどのように社会に応用していけばよいか」を研究し大学4年時にトリオンサイトデザイン組合を設立。デザイン×経営、デザイン×技術として活動し、より高度な研究をするため大学院に進学。
・2011.4月から東海大学の講師に着任。この年の3月に起きた地震により発生した福島第一原発事故を受け、社会的に専門的なことをより分かりやすく伝えることが求められるようになった。このことからインフォグラフィックスの必要性を感じ、大学での講義や研究を行うようになった。
・上述の通り専門的な分野の情報をグラフィック的にデザインしようとしたが、統計データを読むことに失敗。
・デザイナーが専門的なデータや統計をきちんと読むことは難しい。そこで統計の専門家とデザイナーが組織的にインフォグラフィックスに取り組むことが行われるようになった。(オットー・ノイラートのヒント)また、大学の講義でもデータサイエンスを学ぶ学生とデザインを学ぶ学生がコラボしインフォグラフィックスを学ぶことをした。しかし、学生同士がお互いを嫌いになって終わってしまった。上手にいくためには関係性の質を高める必要があり、お互いのやることを分断せずに相手の話を聞きながら進めることが大切である。ここで、重要なのは「デザイナーが相手を敬い、話に敬意をもち、引き出して形にすること。」である。
・政府の会議報告書を視覚化するプロジェクトを開始。同時に、リアルタイムで会議の内容を視覚化できないか試みる。会議中に要約されたものを近い発言同士でまとめ視覚化したり、タブレットを使い直接書き込み共有しながら進めてもらったりした。直接書くことで、短時間で深いところまで議論が進む。新たに2次元で表現していたものを3次元で表現することにも取り組んだ。
・ここまでの取り組みから、専門家(デザイナー)自身によるデザインと当事者(行政、研究機関等)によるデザインがあり、後者を当事者デザインと定義した。この当事者デザインを我々デザイナーが支援していく必要があると実感。
・当事者デザインとしてポンチ絵プロジェクトを開始。ポンチ絵制作者が放言しているものを収集し分析することで、作る際の基準を作り学びの場を提供できる。この見方で当事者に接していると相手ができるようになるためのプロセスを継続的に進められるようにすることを考えるようになった。
ー講義からの学びと気づき
今回初めて「当時者デザイン」というものを学びました。自分がデザインするときは自分やクライアントの中にあるものを深堀して形にしますが、当事者デザインでは本人がやりたいと思うことを引き出し支援しなくてはなりません。実際にそのようなことをした経験がなく、すごく難しいように感じました。しかし、これからの社会ではとても必要なことだと思いました。
また、当事者がデザインできるようになるためにはデザイナー側がより表面的ではなく学問としてもデザインに詳しくならないといけないと同時に、当事者と取り組むときの姿勢を考え、一緒に新しいものを作っていく必要があるのだと思いました。
今回の講義は、これからのデザインのプロのあり方について考えるきっかけになりました。
以上、富田誠さんの講義まとめでした。。ありがとうございました。