特別講義ー未来のデザインー webとアートとテクノロジー
2017.6.5 第7回の講師の方は田中良治さんです。
本日の講義内での事例紹介、学びと自分なりの考えを以下にまとめました。
田中良治 / Ryouji Tanaka
1975年生まれ、三重県出身。
同志社大学工学部・岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー卒業。
2003年、セミトランスペアレント・デザインを設立。
TIAA、カンヌ国際広告祭、クリオ賞、One Show、LIAA、New York ADC、D&ADなど
国内外の広告賞を多数受賞。
インスタレーション展示など、その表現領域を広げている。
ー事例紹介
・SONYビルとBRAVIAの連動 webサイト(web広告)の制作。リアルとネットを繋げるweb広告の先駆けになった。かかるコストや関わる人の規模が大きく、交渉もしなくてはならず責任が重かった。これを機に、違う角度から取り組みたいと思うように。
・トーマス ルフの webサイト。展覧会に合わせて作られたサイトでコンセプチュアルなものである。様々な人にテキストを書いてもらい掲載した。
・KOE Thom Browne の webサイト。海外サイトを日本語版にしたときのフォント感やバランスの悪さの残念感を強調し制作。
・HIOS の webサイト。工業系の商品を扱うサイトの為ストイックな表現をした。
これらの webサイトはブランドに合い面白さのあるものを制作している。
・バイオテクノロジーアートの展覧会の背景等の制作。心霊写真のような人の見間違いをテーマにした。当初まだ発達していなかった人工知能を使い、人間が表現しないようなものを造らせた。
・1つとたくさんの椅子 ジョセフ・コスースの作品をもとに制作したインスタレーション作品。
webサイト以外にm多くのアート作品を手掛けている。
ー講義からの学びと気づき
webサイトは理屈優先で作られてしまうことが多いが、言葉を交わさなくても見ただけで面白いと思ってもらえたこと(ANDO GALLARY webサイト)が田中さんにとって作るモチベーションのため良い体験になったそうです。自分が責任をもって自分が作る。田中さんにとっての作るモチベーションはクライアントに満足してもらうのが前提として、尊敬するグラフィックデザイナーに面白いと思ってもらえるものを作ることだそうです。
やはり面白くて新しいものを作るには、ただクライアントに満足してもらうだけではだめなのだと分かりました。
また、アートは分かる人に向けて作りたいとおっしゃっていました。田中さんの分かるとは知識があるからわかるのではなく、経験しているから分かるということだそうです。「知識を前提としてではなく、経験している人に分かってもらいたいという思いで作品を作っている。」
アートを理解するには知識がなくてはその作品を分かることは難しいと思っていましたが、このお話を聞いて特に現代芸術は、自分の中に解釈のきっかけがあるのだと思い、もっと気楽に、頭ではなく心を敏感にして鑑賞してみたいと思いました。
田中さんの作品はテクロロジーを使っていても、すごいテクノロジーだという印象を受けないものを作っていいます。なぜなら、テクノロジーが当たり前になってしまうと見えなくなってしまうものがあるからだそうです。意図的にハイテクを隠しタイムレスな作品になるようにしているそうです。「作るものにテクノロジー以外の豊かさがあるか。」テクノロジーを凄さや目新しさを追求した作品もありますが、それは一時的面白くてもすぐに会生きてしまうなと思いました。
「新しい人が古くなっていく。そうならないためには、自分で考えて模索しながら、自分なりに体系化していく。」
以上、田中良治さんの講義まとめでした。ありがとうございました。