特別講義ー未来のデザインー 人に立ち返る

2017.5.22第5回の講師の方は伊賀聡一郎さんです。

本日の講義内での事例紹介、学びと自分なりの考えを以下にまとめました。

 

伊賀聡一郎 / Soichirou Iga

-ユーザーリサーチャー、パロアルト研究所日本代表

インタラクション、HCI、エスノグラフィのビジネス応用が専門

「新しい技術の意味(価値)を世に伝えるためには、人に立ち返る」

 

ー事例紹介

PARCとは?

新しいビジョンを作る。ex)印刷機、PCの開発、UIの基礎、Alto

約200名の様々な分野の研究者による組織で、ハードやソフト、イノベーションサービス、グローバルビジネスの展開する。企業、国や軍のなど外部と共同研究し技術開発を行ったり、自身での研究開発も行う。

エスノグラフィとは?

ethnography  =  ethnos(異民族、他者) +   graphia(書かれたもの)

技術を人が使える形にするために調査をする手法の一つ。分からないものをどのように分かるように記録するかが重要になる。知らない状態でとにかく様々なことを記録するが、写真が撮れない場合もあるため、文字としていかに見ていない人に伝えられるようにかけるかが大切なポイントである。また、記録したものをデータとして活用していくことが大事である。時代による変化は以下の通り。

 1970年頃:テクノロジーの利用状況 80年:ワークプレイス 近年:製品・サービス

・1977年に行われたコピー機で両面印刷をするエスノグラフィ(ビデオ)(今でいうユーザーテスト)では、世界的な研究者ですら両面コピーできずに終わった。ここからヒューマン・コンピュータ・インターフェースの研究が始まった。

・サービスエンジニア業務におけるエスノグラフィでは、マニュアル化されたシステム現場で働くエンジニアに渡したが、現場から多くの不満が生じたため調査した。結果として、システムは「現場で起こる新しい問題」に対応していないことが分かった。解決策を皆で共有していたため、新たな知識共有システムEurekaをエンジニアとともに開発した。これが本質的なソリューションの創出であり、共同デザインの始まりであった。

・スマートラベル Printed Electoronics は、薄手のシートにバッテリー等を印刷できるのが特徴で、輸送関係での活用が見込まれる。また、情報が流出しないようにするため、自己破壊機能付きICチップの開発もされている。

 

ー講義からの学びと気づき

・フィールドにはあらゆる情報がある!

 「言われれば分かるが、言われなければ分からないこと」 = Hidden Obvious

 を明らかにする。何か気づくことをしっかりと書き留めることが必要である。

・その人の視線(感じている物)を理解することが大切である。

 どうしてもバイアスがかかってしまうため、理解しようとする一方で偏見を取り除く努力をしなくてはならない。

これから修士研究を進めるにあたり、様々な調査をする中で現場での調査をするため、本質的なことや一見関係なさそうでも重要な課題点を見逃さないで調査できるように基本技術を学ぶと同時に、自分の中の偏見を自覚しバイアスがかからないようにすること、あらゆることをよく見て気づく姿勢を忘れないようにしたいです。

・人・人々の活動の文脈理解(コンテクストの切り出しとリフレーミング

 人がどのようなふるまいをするのか、またその振る舞いのこんななところは何か知ることで、新たな発想が生まれる。

・これからのデザイン

    IoT時代におけるデザインはユーザーとデザイナーがリアルタイムで対話しながらも のを作り出す共創関係になっていく。新しいものを生み出すのがエンドユーザーとなる。

 ・人の持っているそのものの感覚・価値観を理解する。

 「人に立ち返る。」 新しいものを生み出すためには人に立ち返り理解することが大切であり、そのためにエスノグラフィを活用する。

人を理解することを非常に難しく感じていますが、やはり問題を解決するためにもモノを造るためにも必要としている人たちを理解しなくては良いものは生まれないと改めて考感じました。簡単なことではないですが、常によく見て気づく努力をし続けようと思いました。

・目を曇らせない、新しい自分でいる

「自分で考える」誰かに言われたことをそのまま聞かないで一度は自分で考えることが必要である。客観的に自分として何が確かなのか考える。そのためには学び続け、考え続ける。自信をもって意見を言えるように根拠は何かをよく考え、恐れずにいうこと。

今はまだ学生という立場で勉強し続ける立場ですが、社会に出てからも学び続けなくてはと思いました。何かにとらわれない自分でありたいです。

 

「人のために何を、価値を形にするのがデザイナー。枠を壊せるのがデザイナーの資質。」 このことが強く心に残りました。

 

以上、伊賀聡一郎さんの講義まとめでした。ありがとうございました。