特別講義ー未来のデザインー 1を0にする

2017.5.1第3回の講師の方は西村拓紀さんです。

本日の講義内での事例紹介、学びと自分なりの考えを以下にまとめました。

 

西村拓紀 / Hiroaki Nishimura

-デザイナー、クリエイティブディレクター、西村拓紀デザイン株式会社代表取締役

・来歴:

 東京都生まれ、武蔵野美術大学非常勤講師

 武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科卒業

 パナソニック勤務後、会社設立。

 企業ブランディングからプロダクト、グラフィックおよびアート領域を手掛ける。

・受賞歴:

 iF product design award  5件受賞

 グッドデザイン賞 6件受賞

 神戸ビエンナーレ_アートインコンテナ国際コンペティション2011_準グランプリ

 同                           2013_入賞

 

ー事例紹介

‘‘他にないことを創り、他ではできないモノを造り、伝える’’

1.他にないことを創る

 ・1:みんなで音楽を楽しむ → 0:音を楽しむ = リシェア 

 ・1:手術中に座れる、邪魔にならないイス → 0:椅子無しで座って歩く = archelis

 ・1:好きな子に会いたい(キャラ) → 0.8:居ないをなくす = Gatebox

 ・1:プログラミング会社だけどハードを作りたい → 0:非言語で学ぶ = KUMIITA

これらの中で大切なことはクライアントの依頼からいかに本質に近づけるかです。やり取りの中でさいごに残った核が新しいものを生み出すものとなります。

2.他ではできないモノを造る

 ・アイブラス:他のメーカーでは加工できない造形のデザインにしたスピーカー

 ・メダル:従来通り型を使わずレーザーカッターで切り出すことで制約を超え新しいデザインで少量生産が可能に

これらの工場技術や他ではできない特化された技術を取り入れたデザインを作ることで唯一無二の製品を作り出すことができます。西村さん曰く「ボーカルが出せる音域を全部使う。要するに、そのメーカーでしかできない技術をデザインに落とし込む。」ことが秘訣だそうです。

3.伝える

 どう伝えるか?それは伝えるのではなく、事実が伝わってしまった。ということなのです。他にないものを作ることで周りを巻き込みながら評判が広がり発信されていくのが本来の伝わり方であり、そのためには色々のものをデザインしなくてはなりません。

以上の3つが今までにないものを生み出すためのプロセスになります。では、実際に自分が取り組むためのコツや考え方はどのようなものでしょうか。これは以下の講義から学びと気づきにまとめました。

 

ー講義からの学びと気づき

「1を0にする」ということ

0を1にするという言葉はよく耳にしますが、この言葉は初めて聞き新鮮な驚きがありました。誰かが持っているものの本質を見つけ出すためには対話の中で一つ一つを壊し最後に残る壊れないものがその人が持っている本質であり、デザインの種になります。今まで私は表面的なことばかり追いかけていましたが、それでは真の問題解決にはならないと気づくことができました。修士論文に取り組むことはものごとの本質に近づくことでありいかに深い研究ができるかが大切だと改めて実感しました。西村さんは壊していくことだとおっしゃっていましたが、私の中では一枚一枚皮をむき中心に到達することなのだと思いました。

また、プロジェクトを通して様々な壁にぶつかってきましたが、今回の講義でチームがどのように動くのが良いか学びました。

「目標をしっかりと明確に決めることが大切。」

様々な人が一緒にやるときは皆で初めに共通認識をとれるように合意形成を作ることが大切とのことでした。皆がこれだと思うコンセプトに向かっていけることが重要になります。しかし、やっていく中でフレキシブルに変えていくことも大切です。一番大切なのはいつでも全員が一つのコンセプトに向かってお互いの専門性を発揮できること。これは社会に出て働くようになったときに一番大切なことなんじゃないかと思いました。

興味深いお話がたくさんあった中で、私が一番グッと来たのは

「自分自身がとがったコンセプトを持つこと。」

でした。私の今までの悩みはなるほどねと思ってもらえても、いまいちインパクトに欠けるアイディアばかりということでした。しかし、この言葉を聞いたとき打開する道が見えた気がします。いかにとがったコンセプトになるかは本質を見抜き、種を見たこともない形に作る知識が必要だ思いました。そのためには常に本質を考えること、知識を蓄えることを日々していきたいです。

最後に西村さんにとってのデザインとは

「人々を幸せにする手段、そして必要なコンテンツを創る事。」だそうです。

私も声を大にして戦えるデザイナーになれるよう日々勉強に取り組もうと思います。

 

以上、西村さんの講義まとめでした。ありがとうございました。