特別講義ー未来のデザインー デザインと言葉

このブログは、大学院でのデザインについての特別講義のまとめです。

2017.4.17 第1回の講師の方は原田朋さんです。

本日の講義内での事例紹介、学びと自分なりの考えを以下にまとめました。

 

原田朋 / Tomoki Harada

-ビジョナー、コンセプトデザイナー、クリエイティブディレクター

・来歴:

 博報堂、TBWA/HAKUHOUDO,LAのTBWA/CHIAT/DAY で20年に渡って、SONY,NISSAN,IKEA,P&G,MacDONALDS' などのグローバルブランドのクリエイティブディレクション、コピーライティングを手掛ける。

 言葉と映像スキルを駆使し、プロダクトや事業のコンセプトデザイン、企業ビジョンの策定を行い、ビジネスとして起動させていく。

 現在、(株)QUANTUM/執行役員

・その他:

 2012JAAA クリエイターオブザイヤー メダリスト受賞

 2014カンヌ国際クリエイティビティフェスティバルPR部門審査員

 「モノがあってコトバがあるのではなく、コトバからモノゴトが生まれる」

 

ー事例紹介

QAUNTUMとは?

スタートアップの会社、まだないものをクライアントともに作っていく会社です。

・Accelerator(マッチング) ベンチャーと大企業をつなぐ

・Partnarsip(相談) QAUNTUMが大企業と新しいものを作っていく

・Makers(自社開発)ビジネスコンサルタント、クリエーター、エンジニアが取り組む

以上の3つが主なお仕事であり、事例を紹介していただきました。

Googleの‘‘未来を作るのは皆のアイディア’’で一般の人が持っている良いアイディアを形にするプロジェクトを推進し、コピーやムービーの制作もされました。 原田さんはもともとコピーライターとして活動されており、非常に言葉を大切に扱う方です。このプロジェクトの内容を抜粋で載せます。

・スマートマタニティマーク:電車内で妊婦さんに席を譲るためのアプリ。

・英語学習:自分が普段の生活で使っている日本語を集中的に学習できるアプリ。

他企業との製品開発も様々のものがあり、お話を聞いていてとても面白かったです。

・HOTARU:捨てられてしまう繭(絹)を使いスキンケア商品を開発。

また、現在では新たな会社DECsとして活動されています。DECsとはデザイナー、エンジニア、クリエーターがより繋がり新しいものを作る会社だそうです。

以上、簡単にまとめてしまいましたが、ただ事例の紹介ではなくどのようにプロジェクトに取り組むべきか等のお話があり非常勉強になりました。このことについては、次の講義からの学びと気づきにまとめました。

 

ー講義からの学びと気づき

原田さんのお話の中で私が一番心に残ったのは

「言葉を増やすと世界がより精密の見える。見え方が変わると世界が変わる。」

でした。今までは、誰かに何かを伝えたくても曖昧な表現になったり、物事をクリアな状態で見ることができずにいました。それは、ただ言葉を知らず、世界に靄がかかって見ていたからでした。精密に世界を見なくては新しくものを見つけることも本質に近づくこともできません。言葉に出会う分だけ新たな発見があり、同時に見たこともない世界を理解するためには言葉がなくてはいけないのだと気づくことができました。これからは自分の世界を広げ、人と繋がっていくために言葉自覚的に向き合おうと思います。

また、よりよいアイディアを出すための気づきもたくさん得られました。

・困っている人がいる=使う人のことを考える→基本ストーリー(シナリオ)

・大きなデザイン=新しい世界を作る ⇔ 小さなデザイン=実現するためのプロダクト

・世の中を大きな視点で見ることと、じぶんの身の回りの出来事を見る

・答えは自分の外にある

この他にもお話がありましたが、特に私がハッとしたものを抜粋しました。自分という小さな範囲からいかに大きな視点でものを見られるか、困っている人の立場にいかにリアルに立つことができるか、このことが非常に重要だと思いました。

最期に原田さんにとって

「デザインとは、社会と自分の差分である。」

でした。この差分にデザインのもととなるアイディアが生まれるとのことでした。

私にとってのデザインとは何なのか?この問いについて改めて考えてみました。これというはっきりしたものはまだわかりません。しかし、ある時から一つの方向性は見えていたのが今回の講義でよりはっきりとしました。

私にとってのデザインとは「誰のためにどう役立つか」なのだと思います。ありきたりですが、人があまり目を向けたがらないマイナスな状況をいかにデザインの視点から打開ししていけるのかが私にとって大切な姿勢です。もちろん表現が魅力的であること、斬新で楽しいものは素晴らしいと思います。しかし、「今求められていることは0を1にすること」というのがしっくりときた私にとってのデザインとはこれなんだと強く思いました。もっとデザインや社会を学び、実践を重ねる中でいつか私にとってのデザインを語れるようになりたいです。

 

以上、原田朋さんの講義まとめでした。ありがとうございました。