特別講義ー未来のデザインー 挑発と抑制

2017.5.29第6回の講師の方は黒川雅之さんです。

本日の講義内での事例紹介、学びと自分なりの考えを以下にまとめました。

 

黒川雅之 / Masayuki Kurokawa

-建築家、プロダクトデザイナー

名古屋工業大学早稲田大学理工科大学院、博士課程を修了。デザイントープを運営。2007年4月、株式会社Kを設立。「創作の場としての黒川雅之建築設計事務所」と「情報システムとしてのデザイントープ」と「交流と研究の場としての物学研究会」と「製造と販売の場としての株式会社K」の4つの組織からなるKシステムをつくり、精力的に活動。金沢美術工芸大学において芸術博士学位取得。復旦大学上海視覚芸術学院客員教授

 

ー事例紹介

以下に紹介して頂いた事例をまとめました。

・See House ‘‘その土地のもつ文化を継承する’’ 「VERNACULAL + 原風景」

 大地から削り出し空のかけらをあわせた、その土地に生える建築をつくる。

・Tianjin Villa ‘‘天地人の思想を継承する「中国文化への恋文」’’

 床を大地とし、壁を漆喰で白く美しく作る。インテリアに中国文化を取り入れる。

・Water Bar ‘‘発掘した建築と実像と虚像の二重性’’

 ヤオトンは中に埋め込まれた建築を地上に建てた、建築の原風景である。昼夜と照明により虚実との同時存在を演出。

・Cyber Studio ‘‘創造的な空間を作るー自由と挑発’’

 照明と家具により広々とした空間を作る。→フレームにモノを入れるのは西洋的

・Book Cafe ‘‘天空に消える建築・虚実の同時性’’

 外壁に空と地面しか映らない、詩を謳う建築。

・MANDALA ‘‘挑発し抑制する物のデザインの原型・原像’’

 

ー講義からの学びと気づき

「モノ・ヒトが発する空間性を敏感にとらえること」

近代では分割して仕事をするようになり、様々な問題が起こるようになった。そこで今一度、建築の意味を拡大してとらえるようにする。建築とは、空間を捉えるものであるがプロダクトも同じであり、形としてではなく空間としてとらえることが大切である。

心の内なる世界(問題)から考えることがたりない、心の中には変わらずある。人間の社会においてものとは?生活者は何を求め、何に感動するのか?そこにあるものが与えるプレッシャーとびを考える。

私はプロダクトを考えるときに形から入っていました。しかし、このお話を聞いてプロダクトを使うのはヒトでありそこには動きと空間が伴うものっだと改めて理解しました。そして、モノには必ず使われていない瞬間があり、その姿が美しいことの重要性に改めて気づきました。追、ユーザーの使いやすさや機能を追い求め忘れがちになってしまいますが、形が持つ美の強さや影響力をよく考えてデザインしたいと思いました。

「自分は○○を作りたいんだ!」 願望・希望という人の生々しさを大切に

状況はゼロでも考えることはできる。直感で見つけたものを、後から考え説明することで新しいものを生み出す。デザインという近い距離から願望と離れ遠い位置にある思想をよく考えること。底に人間の本性と挑発と抑制がある。

自分が勉強して自分の思想にしたものや思い、感動からモノゴトを考えデザインすることの大切さと難しさを学びました。これは一朝一夕で身につくものではないため日々の努力と積み重ねが大切だ実感しました。

「挑発ー抑制」

・挑発とは口説くより誘惑しろ! お金のためにデザインするのではなく良いデザインをすること。 仕向けることが大切である。

・抑制とはシンプルなデザインをせよ!できる限りデザインしない。深い感動や原風景を自分の意志でデザインしないこと。

この講義で一番印象が強かった言葉です。挑発とはもっと攻撃的なイメージがありましたが、「誘惑をする」という考えにひかれました。まだ、この挑発と抑制の本質をよく理解できていませんが、黒川さんの著書を読み勉強し自分の思想にしたいと思います。

 

以上、黒川雅之さんの講義まとめでした。ありがとうございました。

特別講義ー未来のデザインー 人に立ち返る

2017.5.22第5回の講師の方は伊賀聡一郎さんです。

本日の講義内での事例紹介、学びと自分なりの考えを以下にまとめました。

 

伊賀聡一郎 / Soichirou Iga

-ユーザーリサーチャー、パロアルト研究所日本代表

インタラクション、HCI、エスノグラフィのビジネス応用が専門

「新しい技術の意味(価値)を世に伝えるためには、人に立ち返る」

 

ー事例紹介

PARCとは?

新しいビジョンを作る。ex)印刷機、PCの開発、UIの基礎、Alto

約200名の様々な分野の研究者による組織で、ハードやソフト、イノベーションサービス、グローバルビジネスの展開する。企業、国や軍のなど外部と共同研究し技術開発を行ったり、自身での研究開発も行う。

エスノグラフィとは?

ethnography  =  ethnos(異民族、他者) +   graphia(書かれたもの)

技術を人が使える形にするために調査をする手法の一つ。分からないものをどのように分かるように記録するかが重要になる。知らない状態でとにかく様々なことを記録するが、写真が撮れない場合もあるため、文字としていかに見ていない人に伝えられるようにかけるかが大切なポイントである。また、記録したものをデータとして活用していくことが大事である。時代による変化は以下の通り。

 1970年頃:テクノロジーの利用状況 80年:ワークプレイス 近年:製品・サービス

・1977年に行われたコピー機で両面印刷をするエスノグラフィ(ビデオ)(今でいうユーザーテスト)では、世界的な研究者ですら両面コピーできずに終わった。ここからヒューマン・コンピュータ・インターフェースの研究が始まった。

・サービスエンジニア業務におけるエスノグラフィでは、マニュアル化されたシステム現場で働くエンジニアに渡したが、現場から多くの不満が生じたため調査した。結果として、システムは「現場で起こる新しい問題」に対応していないことが分かった。解決策を皆で共有していたため、新たな知識共有システムEurekaをエンジニアとともに開発した。これが本質的なソリューションの創出であり、共同デザインの始まりであった。

・スマートラベル Printed Electoronics は、薄手のシートにバッテリー等を印刷できるのが特徴で、輸送関係での活用が見込まれる。また、情報が流出しないようにするため、自己破壊機能付きICチップの開発もされている。

 

ー講義からの学びと気づき

・フィールドにはあらゆる情報がある!

 「言われれば分かるが、言われなければ分からないこと」 = Hidden Obvious

 を明らかにする。何か気づくことをしっかりと書き留めることが必要である。

・その人の視線(感じている物)を理解することが大切である。

 どうしてもバイアスがかかってしまうため、理解しようとする一方で偏見を取り除く努力をしなくてはならない。

これから修士研究を進めるにあたり、様々な調査をする中で現場での調査をするため、本質的なことや一見関係なさそうでも重要な課題点を見逃さないで調査できるように基本技術を学ぶと同時に、自分の中の偏見を自覚しバイアスがかからないようにすること、あらゆることをよく見て気づく姿勢を忘れないようにしたいです。

・人・人々の活動の文脈理解(コンテクストの切り出しとリフレーミング

 人がどのようなふるまいをするのか、またその振る舞いのこんななところは何か知ることで、新たな発想が生まれる。

・これからのデザイン

    IoT時代におけるデザインはユーザーとデザイナーがリアルタイムで対話しながらも のを作り出す共創関係になっていく。新しいものを生み出すのがエンドユーザーとなる。

 ・人の持っているそのものの感覚・価値観を理解する。

 「人に立ち返る。」 新しいものを生み出すためには人に立ち返り理解することが大切であり、そのためにエスノグラフィを活用する。

人を理解することを非常に難しく感じていますが、やはり問題を解決するためにもモノを造るためにも必要としている人たちを理解しなくては良いものは生まれないと改めて考感じました。簡単なことではないですが、常によく見て気づく努力をし続けようと思いました。

・目を曇らせない、新しい自分でいる

「自分で考える」誰かに言われたことをそのまま聞かないで一度は自分で考えることが必要である。客観的に自分として何が確かなのか考える。そのためには学び続け、考え続ける。自信をもって意見を言えるように根拠は何かをよく考え、恐れずにいうこと。

今はまだ学生という立場で勉強し続ける立場ですが、社会に出てからも学び続けなくてはと思いました。何かにとらわれない自分でありたいです。

 

「人のために何を、価値を形にするのがデザイナー。枠を壊せるのがデザイナーの資質。」 このことが強く心に残りました。

 

以上、伊賀聡一郎さんの講義まとめでした。ありがとうございました。

 

特別講義ー未来のデザインー タピエ流「目憶力」

2017.5.8 第4回の講師の方は玉井恵里子さんです。

本日の講義内での事例紹介、学びと自分なりの考えを以下にまとめました。

 

玉井恵里子 / Eriko Tamai

-インテリアデザイナー、株式会社 タピエ代表取締役

・来歴:

 京都生まれ、大阪成蹊大学非常勤講師。
 92年アルフレックスジャパンより独立し東京代々木に「タピエ」設立。
 個人邸・ゲストハウス・寺社建築など、デザインコンシャスな人々へ向けたライフス タイルを提案。
 京都伝統工芸職人とのコラボレーションプロダクトを多数発表。 
 Best Design Osaka インテリアコーディネート部門賞受賞
 ものづくりルネッサンスコンペティション企業賞受賞
 代表作に東光寺涅槃堂(2011年竣工)

 

ー事例紹介

玉井さんのデザインのアプローチ

1.自分の好きなデザイン等、強い興味を持つ

2.「目憶力」による選別

「目憶力」とは 目で好奇心を持ったものを記憶すること。

3.情報をストックする

4.ストックの活用

5.分析

6.選択と組み合わせを考える

7.さらなる探求をし、次につなげる

やはりここで重要なのは、玉井さん独自のポイントは「目憶力」!!

タピエの3本柱 インテリアデザイン、CM・小物レンタル、雑貨の企画・販売

それぞれターゲットが異なり、事業を展開しています。異なることをしていても共通の得られることがあり、それは「企画力、人のネットワーク、情報」だそうです。

具体的な事例は以下に簡単にまとめてみました。

・雑貨:クリエーター雑貨のブームを起こす。企画というものは社会背景のつながっているもので、社会の流れをつかんだり作り出すことです。

・同じコストでも、お客様が面白いと反応してくれるモノを造ることが大切です。コストをかけずに楽しませることも大切な仕事。

・店舗、お客様、クリエーターの三方よしとなるように

・パリでの展覧会を開催「Kawaii et cetera」

・くちぱく:クリエーターが作った一帯の人形を量産化する

・レンタル事業:どう商品が魅力的に見えるか、多角的に世の中の情報を見ることが大切です。

・インテリアプランニング:「いつまでも暮らし 美しく」これは高齢化社会になっていく日本でより生活に楽しみがあるようにというコンセプトです。

インテリア空間ではお客様がどう感じるか考え、何をどこに配置して演出するかで在院します。また、行動パターンによって楽しみ方が変わってくるため、考慮しながら配置します。

・イベント空間:商いで見て回れる、モノを面白く伝える

・仏師にスポットライトを当てた展示会やお寺の空間デザイン

 小さなものから大きなものまで手作りでどこまでできるかが大切です。

箇条書きでまとめてしまいましたが、移乗のようにたくさんのじれいを紹介していただきました。

 

ー講義からの学びと気づき

「目憶力」アップのすすめ

1.鍛える:書籍、美術、映画、などなど様々なものに触れ目利き、見る目を鍛える

2.「身近気づき力」:視点を変え、新たな気づきを得る、感性の引き出しをつくる

3.バランス感覚:高級・リーズナブル両方の良さの究極をみる

4.現場主義:実際に見る、触る、空気感、光、寸法を感じる。五感をフル活用

この4つが目憶力を鍛えるコツです。色々なものを見ることが好きで普段から触れていましたが、もっと視野を広げ意識的に見ること、少しでも気になったら記録を臆していくようにしたいと思います。

未来考について

「10年ごとに時代はガラッと変わる。」 2020年代はヒト・モノ・コトの編集の時代

現在では加速度的にモノゴトが変わっていく時代に感じるため、もっと短いスパンで変化していってしまうと思います。なのでその流れに追いつき、新しい価値と流れを創れるデザイナーになりたいと思いました。

お話を聞いている中で私が気になったのはこれだけの行動力とバイタリティはどこから生まれてくるのだろうか、原動力は何かということでした。

玉井さんの答えは

「コンプレックスからくる、褒められたい、デザイナーは自信満々じゃない。」

というものでした。意外と人の欲求は変わらないものであるとすれば、なぜデザインするのか? それは愛されたいからとの答えでした。仕事を通すと気が弱くても冒険することができるとおっしゃっていました。真の意味を理解できているかは私自身まだ不安ですが、この言葉は心に響きました。

そして、「デザインも一つ発表すると古くなる。けれど怖がらずに先を見続ける。」

この言葉に流行を生み出し様々な事業を起こせる玉井さんの凄さを感じることができました。

 

以上、玉井さんの講義まとめでした。ありがとうございました。

 

特別講義ー未来のデザインー 1を0にする

2017.5.1第3回の講師の方は西村拓紀さんです。

本日の講義内での事例紹介、学びと自分なりの考えを以下にまとめました。

 

西村拓紀 / Hiroaki Nishimura

-デザイナー、クリエイティブディレクター、西村拓紀デザイン株式会社代表取締役

・来歴:

 東京都生まれ、武蔵野美術大学非常勤講師

 武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科卒業

 パナソニック勤務後、会社設立。

 企業ブランディングからプロダクト、グラフィックおよびアート領域を手掛ける。

・受賞歴:

 iF product design award  5件受賞

 グッドデザイン賞 6件受賞

 神戸ビエンナーレ_アートインコンテナ国際コンペティション2011_準グランプリ

 同                           2013_入賞

 

ー事例紹介

‘‘他にないことを創り、他ではできないモノを造り、伝える’’

1.他にないことを創る

 ・1:みんなで音楽を楽しむ → 0:音を楽しむ = リシェア 

 ・1:手術中に座れる、邪魔にならないイス → 0:椅子無しで座って歩く = archelis

 ・1:好きな子に会いたい(キャラ) → 0.8:居ないをなくす = Gatebox

 ・1:プログラミング会社だけどハードを作りたい → 0:非言語で学ぶ = KUMIITA

これらの中で大切なことはクライアントの依頼からいかに本質に近づけるかです。やり取りの中でさいごに残った核が新しいものを生み出すものとなります。

2.他ではできないモノを造る

 ・アイブラス:他のメーカーでは加工できない造形のデザインにしたスピーカー

 ・メダル:従来通り型を使わずレーザーカッターで切り出すことで制約を超え新しいデザインで少量生産が可能に

これらの工場技術や他ではできない特化された技術を取り入れたデザインを作ることで唯一無二の製品を作り出すことができます。西村さん曰く「ボーカルが出せる音域を全部使う。要するに、そのメーカーでしかできない技術をデザインに落とし込む。」ことが秘訣だそうです。

3.伝える

 どう伝えるか?それは伝えるのではなく、事実が伝わってしまった。ということなのです。他にないものを作ることで周りを巻き込みながら評判が広がり発信されていくのが本来の伝わり方であり、そのためには色々のものをデザインしなくてはなりません。

以上の3つが今までにないものを生み出すためのプロセスになります。では、実際に自分が取り組むためのコツや考え方はどのようなものでしょうか。これは以下の講義から学びと気づきにまとめました。

 

ー講義からの学びと気づき

「1を0にする」ということ

0を1にするという言葉はよく耳にしますが、この言葉は初めて聞き新鮮な驚きがありました。誰かが持っているものの本質を見つけ出すためには対話の中で一つ一つを壊し最後に残る壊れないものがその人が持っている本質であり、デザインの種になります。今まで私は表面的なことばかり追いかけていましたが、それでは真の問題解決にはならないと気づくことができました。修士論文に取り組むことはものごとの本質に近づくことでありいかに深い研究ができるかが大切だと改めて実感しました。西村さんは壊していくことだとおっしゃっていましたが、私の中では一枚一枚皮をむき中心に到達することなのだと思いました。

また、プロジェクトを通して様々な壁にぶつかってきましたが、今回の講義でチームがどのように動くのが良いか学びました。

「目標をしっかりと明確に決めることが大切。」

様々な人が一緒にやるときは皆で初めに共通認識をとれるように合意形成を作ることが大切とのことでした。皆がこれだと思うコンセプトに向かっていけることが重要になります。しかし、やっていく中でフレキシブルに変えていくことも大切です。一番大切なのはいつでも全員が一つのコンセプトに向かってお互いの専門性を発揮できること。これは社会に出て働くようになったときに一番大切なことなんじゃないかと思いました。

興味深いお話がたくさんあった中で、私が一番グッと来たのは

「自分自身がとがったコンセプトを持つこと。」

でした。私の今までの悩みはなるほどねと思ってもらえても、いまいちインパクトに欠けるアイディアばかりということでした。しかし、この言葉を聞いたとき打開する道が見えた気がします。いかにとがったコンセプトになるかは本質を見抜き、種を見たこともない形に作る知識が必要だ思いました。そのためには常に本質を考えること、知識を蓄えることを日々していきたいです。

最後に西村さんにとってのデザインとは

「人々を幸せにする手段、そして必要なコンテンツを創る事。」だそうです。

私も声を大にして戦えるデザイナーになれるよう日々勉強に取り組もうと思います。

 

以上、西村さんの講義まとめでした。ありがとうございました。

 

 

特別講義ー未来のデザインー 家具とデザイン

2017.4.24 第2回の講師の方は深田新さんです。

本日の講義内での事例紹介、学びと自分なりの考えを以下にまとめました。

 

 深田新 / Arata Fukada

-家具デザイナー

・来歴:

 1955年鳥取県生まれ
 ’75年鳥取県立米子東高等学校卒業
 ’81年京都工芸繊維大学工芸学部 意匠工芸学 科卒業
 ’84年大学院修士課程修了修了 工学修士
 ’84-85年走泥社同人熊倉順吉氏に師事
 ’87年西伯町絹屋生家の離れに築窯
   米子工芸会設立に参加
   県立米子南高等学校美術非常勤講師
 ’89年株式会社IDEE 入社
 ’91年-99年 株式会社IDEE 取締役・企画開発部長デザインマネージャー
 ’10年-11年 良品計画企画デザイン室に出向、IDEEデザインを兼務
 ’13 年4月 株式会社IDEE 企画営業事業部デザインマネージャー(インハウス)
 主に定番家具、小物から特注家具デザイン及びそれらの監修に携わる。 

 

ー事例紹介

IDEEとは?

仏語で理念を指す言葉。生活の探求や趣味の冒険を会社の基礎とする。他にはない面白いものを生み出す。理屈ではなく、いいじゃんこれのもと発想が他企業と違うように制約の中でどれだけ遊べるかを大切にしている会社です。数ある製品の中から深田さんが紹介して下さったものを以下に抜粋でまとめます。

深田さんは、旧京都ホテルや著名人宅の家具デザインを手掛けています。初期の活動は

・IDEEは曲木の椅子を日本で初めて普及させた。

アール・デコの復刻作品

等があり、次の時代を作っていくためにはマーケティング(今)だけではなくどういう新しい世界を作るか、どうやったら人の心を揺さぶれるのかを考えなくていけないとのことでした。

・2006年以降は良品計画の傘下になり再始動。この時、JMMという高度成長期の思い   や技術を現代のライフスタイルに合わせて復刻させるプロジェクトに取り組む。

・IDEE復帰後は、柳宗理のランプシェードの量産化、有名作品の復刻に取り組む。

・現在は国産の間伐材を使った製品の開発を行う。今の日本は、森林や間伐材の問題が ありその解決のいったんとして地産地消で木材を使い椅子をデザインしている。

津波の塩害にあった木材を使用し、みんなの記憶に残る椅子を制作する。

・もの八分目:使い切る、寿命が来るまで大切に、愛着等をコンセプトにものを作る。

このような活動のなかで、社会問題に取り組みながら手で作ることを大切にデザインを手掛けている。

 

ー講義からの学びと気づき

講義の最後にデザイナーになる人が持つべき視点について教えて頂きました。

・社会的に問題になっていることに光を当てよ

・手で考えろ、素材に向き合い手を動かして考えるように 手の先にあるのが道具であり見誤ってはいけない

・水も空気も人も澱んでしまうとダメになる

・誰もが良いということにこだわらない

・思ったことは言い、集中して判断は早く形式に乗らず、本質を失わない

これら多くの教えのなかで私が最も心に残ったのは

「自分が作るものに思いをもってどれだけ集中してできるかが大切。」

という言葉です。制作に取り組んでいる間に様々な考えがよぎります。しかし、誰かに見られることを気にして自分の作るものの本質をおざなりにし、真剣に向き合えなくては本末転倒です。それではどんなに良いアイディアでも最後の何かが足りないものになってしまうのだはないかと気づくことができました。こっれからは、人の意見をよく聞き取り入れることは大切ですが、自分の思いを失ってしまわないようにしたいです。そのためにも、自分の考えを明確にする力を身に着け、恐れずにデザインに向き合うよう心掛けたいと思います。

また、「シチュエーションにあわせて自分の攻める角度を変えていく。」というのも印象に残りました。今の自分は知識の引き出しも少なく、経験も少ないためなかなかうまくはいきませんが、自分の得意なスタイルを確立しつつ、どんな問題にも新しい切り口で臨めるデザイナーになりたいと思いました。

 

以上、深田新さんの講義まとめでした。ありがとうございました。

 

 

特別講義ー未来のデザインー デザインと言葉

このブログは、大学院でのデザインについての特別講義のまとめです。

2017.4.17 第1回の講師の方は原田朋さんです。

本日の講義内での事例紹介、学びと自分なりの考えを以下にまとめました。

 

原田朋 / Tomoki Harada

-ビジョナー、コンセプトデザイナー、クリエイティブディレクター

・来歴:

 博報堂、TBWA/HAKUHOUDO,LAのTBWA/CHIAT/DAY で20年に渡って、SONY,NISSAN,IKEA,P&G,MacDONALDS' などのグローバルブランドのクリエイティブディレクション、コピーライティングを手掛ける。

 言葉と映像スキルを駆使し、プロダクトや事業のコンセプトデザイン、企業ビジョンの策定を行い、ビジネスとして起動させていく。

 現在、(株)QUANTUM/執行役員

・その他:

 2012JAAA クリエイターオブザイヤー メダリスト受賞

 2014カンヌ国際クリエイティビティフェスティバルPR部門審査員

 「モノがあってコトバがあるのではなく、コトバからモノゴトが生まれる」

 

ー事例紹介

QAUNTUMとは?

スタートアップの会社、まだないものをクライアントともに作っていく会社です。

・Accelerator(マッチング) ベンチャーと大企業をつなぐ

・Partnarsip(相談) QAUNTUMが大企業と新しいものを作っていく

・Makers(自社開発)ビジネスコンサルタント、クリエーター、エンジニアが取り組む

以上の3つが主なお仕事であり、事例を紹介していただきました。

Googleの‘‘未来を作るのは皆のアイディア’’で一般の人が持っている良いアイディアを形にするプロジェクトを推進し、コピーやムービーの制作もされました。 原田さんはもともとコピーライターとして活動されており、非常に言葉を大切に扱う方です。このプロジェクトの内容を抜粋で載せます。

・スマートマタニティマーク:電車内で妊婦さんに席を譲るためのアプリ。

・英語学習:自分が普段の生活で使っている日本語を集中的に学習できるアプリ。

他企業との製品開発も様々のものがあり、お話を聞いていてとても面白かったです。

・HOTARU:捨てられてしまう繭(絹)を使いスキンケア商品を開発。

また、現在では新たな会社DECsとして活動されています。DECsとはデザイナー、エンジニア、クリエーターがより繋がり新しいものを作る会社だそうです。

以上、簡単にまとめてしまいましたが、ただ事例の紹介ではなくどのようにプロジェクトに取り組むべきか等のお話があり非常勉強になりました。このことについては、次の講義からの学びと気づきにまとめました。

 

ー講義からの学びと気づき

原田さんのお話の中で私が一番心に残ったのは

「言葉を増やすと世界がより精密の見える。見え方が変わると世界が変わる。」

でした。今までは、誰かに何かを伝えたくても曖昧な表現になったり、物事をクリアな状態で見ることができずにいました。それは、ただ言葉を知らず、世界に靄がかかって見ていたからでした。精密に世界を見なくては新しくものを見つけることも本質に近づくこともできません。言葉に出会う分だけ新たな発見があり、同時に見たこともない世界を理解するためには言葉がなくてはいけないのだと気づくことができました。これからは自分の世界を広げ、人と繋がっていくために言葉自覚的に向き合おうと思います。

また、よりよいアイディアを出すための気づきもたくさん得られました。

・困っている人がいる=使う人のことを考える→基本ストーリー(シナリオ)

・大きなデザイン=新しい世界を作る ⇔ 小さなデザイン=実現するためのプロダクト

・世の中を大きな視点で見ることと、じぶんの身の回りの出来事を見る

・答えは自分の外にある

この他にもお話がありましたが、特に私がハッとしたものを抜粋しました。自分という小さな範囲からいかに大きな視点でものを見られるか、困っている人の立場にいかにリアルに立つことができるか、このことが非常に重要だと思いました。

最期に原田さんにとって

「デザインとは、社会と自分の差分である。」

でした。この差分にデザインのもととなるアイディアが生まれるとのことでした。

私にとってのデザインとは何なのか?この問いについて改めて考えてみました。これというはっきりしたものはまだわかりません。しかし、ある時から一つの方向性は見えていたのが今回の講義でよりはっきりとしました。

私にとってのデザインとは「誰のためにどう役立つか」なのだと思います。ありきたりですが、人があまり目を向けたがらないマイナスな状況をいかにデザインの視点から打開ししていけるのかが私にとって大切な姿勢です。もちろん表現が魅力的であること、斬新で楽しいものは素晴らしいと思います。しかし、「今求められていることは0を1にすること」というのがしっくりときた私にとってのデザインとはこれなんだと強く思いました。もっとデザインや社会を学び、実践を重ねる中でいつか私にとってのデザインを語れるようになりたいです。

 

以上、原田朋さんの講義まとめでした。ありがとうございました。