特別講義ー未来のデザインー ビジュアライゼーションについて

2017.7.24 第13回の講師の方は隈元章次さんです。

本日の講義内での事例紹介、学びと自分なりの考えを以下にまとめました。

 

隈元章次 / Shouji Kumamoto

- SITE4D 代表

 

ー事例紹介

・1999年〜 webサイトの構築 2008年〜 ソフトウェア開発 2017年〜 IoT創出 

9年ごとに携わって来た内容が変化している。SITAE4Dは web系の会社だが、日本では買収されずに長く会社として生き残っている数少ない会社である。物事の変化は9年周期で起きるといわれているが、現在ではその周期がどんどん短くなっている。また、昨今デザインの重要性が話題になっているが、まだまだデザインへの投資は少なく厳しい状態である。

・産業向けに本気でデザインをする人が減っているが、企業には膨大なデータが蓄積されていて可視化されることが望まれている。

・株価など経営系のデータは瞬時に様々なことが分かることが重要であり、人の違和感などの感覚に訴えかけるグラフィックにすることが必要である。「脳と人体の探求」を落とし込みデザインすることで、グラフなどを瞬時に把握できる形にすることができる。

・EnterpriseからSportsへ  経営戦略とスポーツは近く、プロスポーツにおけるデータの可視化を進める。スポーツにおけるデータは、①戦力データ ②動作データ ③生体データの3つがあり、プロアスリート向けに視覚化するのと同時にファン向けにもデータを視覚化しマニアックなファンやファンコミュニケーションズに役立つようにしている。ただデータを視覚化するのではなく、選手が本人が理解し自分自身のコーチとして動くことを促すようにデザインされている。また、データの資格かだけではなくその他の要素もデザインし全体を作っていく。

・「リズムの探求」1/100のペースで刻む 音楽分野においてドラムデータを可視化し、世界中で共有することで皆がレベルアップするために役立てる。現在はハングアップしないように開発している。また、世界中で使われるため、地域ごとの特色も分かってきた。シンセサイザーのハード部分と同時にソフトを一緒にデザインしたので、より使いやすくかっこいいものが出来上がった。

 

ー講義からの学びと気づき

・仕事をすることの基本として

課題:複雑な仕様、曖昧な境界線、高度な要求 がありそれらを可視化、見地、追跡などの中から技術や人間味:審美眼、洞察力、職人気質によってデザインを進めていく。また、少数精鋭、短期工数、実地検証の体制で行うことで同時並行で多くのプロジェクトを進めることできる。

以上のことが社会に出て働くときにとても重要なことだと分かりました。特に課題がこのようなものであることを学生のうちか少しずつ理解しておくことが必要だと感じました。

・プレゼンをする時は資料ではなく人間味。相手ときちんと話すこと。

授業の課題でプレゼンするときは内容を伝えることに重点を置きがちになってしまい、伝わりやすいように配慮するものの、いつも理屈優先になってしまい人間味のあるものではなくなってしまっていました。しかし、このお話を聞き相手に共感してもらい良い提案だと思ってもらうためには、こういった人間味や、一方的に伝えるのではなく相互のやり取りを大切にしたいと思いました。

・ハードが先でソフトが後な日本

現在の日本物作りはプロダクトのハードを作ってから中のソフトを開発するように別々で作っている方が多いです。しかし、このように作るデザイン性が損なわれたり、使いづらいものになってしまいます。今に純粋にハードのみのプロダクトは少なくなってきているため、どちらも一緒に作っていくことが求められ、どちらのデザインでもできるデザイナーがもっと必要だと感じました。

 

今回の講義を受けて、解析されたデータを可視化することに興味を持ちました。世の中にいっぱいある蓄積され解析されたデータを分かりやすく描画できるか、どのように描画すればよいのか勉強していたいと思いました。また、まだまだ活用されていないデータや蓄積されていないものをどうやって扱っていくかにも興味が湧きました。

 

以上、隈元章次さんの講義まとめでした。ありがとうございました。

特別講義ー未来のデザインー アナログな私、デジタルな貴方 -中垣信夫の生きた時代

2017.7.10 第12回の講師の方は中垣信夫さんです。

本日の講義内での事例紹介、学びと自分なりの考えを以下にまとめました。

 

中垣信夫 / Nobuo Nakagaki

- グラフィックデザイナー、中垣デザイン事務所代表、ミームデザイン学校設立者

 

ー先生が体感してきた時代とデザインの変遷

講義内で頂いた資料とお話を時代の流れに沿って以下にまとめます。

1.1938年、葡萄園・ワイナリーの6人兄弟の四男として相模原市に生まれる。この時代の社会の情報は国が操作した(戦時中の為)新聞やラジオ、1週間遅れのニュース映画が主流であった。なので皆が無知な時代であった。

2.武蔵野美術大学卒業。大手広告代理店に就職するが、10日で退職。そして、1964年杉浦康平事務所に入る。杉浦先生は一番憧れていて尊敬している先生である。デザインはアメリカの雑誌の影響を受け、商業デザインが主流となる。盗作が横行している時代であった。また、活版印刷であったため文字に限りがあり、手書きでデザインをする時代であった。

3.1960年ヨーロッパ文化世界デザイン会議が日本で開催。デザインの社会性が注目されるようになり商業的なデザインからグラフィックデザインとして確立されていった。昭和一桁代のデザイナーが大活躍した時代。社会は家電の爆発的普及や農薬による栽培が始まる。そのことによって生活の洋風化や家族形態、食の変化が起きた。

4.杉浦先生宅に10年間居候して働いていたが、杉浦先生がウルム造形大学に招聘され生徒として同行する。1965年頃より、オフセット印刷が主流となり書体が大幅に増える。社会は家電の普及に伴い工場が増え自然環境の悪化や核家族化が進んだ。

5.1973年、独立。ドイツ行をきっかけに杉浦先生はアジア文化の良さを広げることに注力し、中垣先生はドイツの成熟した社会に感銘を受け、ヨーロッパスタイルでやっていこうと決意し、中垣デザイン事務所を設立した。それまでは、編集者、柘植屋、印刷屋、著者で直接会って現行のやりt利をしていたが、ファックスの登場により会う機会が減る。仁和で一緒にやっているという仲間意識も薄れてしまった。

6.1990〜2000年代にかけプロダクトデザインに変化が起きる。それまで形に個性があったものが、家電やTVのフラット化が進みデザインの顔の能面化が進む。また、大型チェーン店の登場により、今まであった地域の人間関係が崩れ始め、土地に残る人が減ってしまった。地域コミュニティの崩壊と地元商店街への打撃が生じる。

7.AIの登場。これにより人が思考することを放棄し、機械に仕事が奪われていくようになっていく。

 

ー講義からの学びと気づき

「発想する運動体が弱まれば、皆同じになってしまう(つまらない世の中に)」

人はどんどん新しいものや便利さを求めますが、一つ成功したものや流行に乗ることが多く画一的なってしまいがちだなと感じていました。先生のお話を聞いてもっと、多様性や個性を面白がる心や広がりを許容できる人になる事、そして自分がそれを生み出せるデザイナーになりたいと思いました。

「人間関係や友人を大切にし、皆で理想的な社会を作っていくという運動が必要」

お金よりも精神の共同体を大切にしなさいということでしたが、確かに今の社会繋がりが薄れていることが問題視されているにもかかわらず利益を優先しがちで人々に余裕がなくなっていると思います。でも、いつまでもそれではだめなんだと気づきました。難しいことですが1人1人が社会の問題に主体的に向き合うこと、考え続ける必要があると思いました。一人ではなかなかできないけれど様々な人との絆を大切にし取り組みたいと思います。

最後に、良いアイディアが出るようにするためどんどんノートに考えを書いて、知識を身に着け、面白ことができるデザイナーになるようにコツコツ取り組みます。

 

以上、中垣信夫さんの講義まとめでした。ありがとうございました。

 

特別講義ー未来のデザインー 動画の伝える力

2017.7.3 第11回の講師の方は中村寛治さんです。

本日の講義内での事例紹介、学びと自分なりの考えを以下にまとめました。

 

中村寛治 / Kanji Nakamura

- ヒューマンセントリックス 代表取締役

動画の情報量や説得力などの可能性を感じ、企業向けのプレゼン等の資料として動画を制作する会社を2004年に立ち上げる。また、今までにはなかった B to B 向けのテレビコマーシャル BMを制作する。映像制作会社としては、土日休み・徹夜なしのクリエーターが働きやすい環境の会社である。

 

ー事例紹介

・「基本的な説明は紙より動画の方が伝わる」:ヒューマンセントリックスは企業向け動画の企画・制作のプロ集団。日本では草分け的存在で、日本トップクラスのビジネスを誇る。

・デザインについて:デザインに関わる人は多種多様。デザインをお金に換えるのが仕事。「未来を創る」とは自分たちが面白いと思い、お客様が価値観を感じるものは確実に未来を創る。

・消費者向けのCMは芸能人を用いたものが多いが、本来のサービスや商品をデザインの力で伝えることが誠実であり、本来の姿である。

・Human Centrix:人・中心「人が持っている本来の輝きを発揮する場」ワクワクし自身のエンジンを回転させる場である。

・従来のように一つのプロジェクトをやるために集まったチームではなく、同じメンバーと一緒に次々とこなし成長していくことを目指したので、映像制作会社としては珍しく社員の多い会社となった。

・会社を立ち上げたきっかけは、人がワクワクしているの見て動画制作にシフトしたことである。50万円台(画期的)の動画を請け負うことで、企業もプレゼン動画を気軽に作れるようになった。

・形のないものを作る:形のないもの作るときは、直接お客さんと話さないと何を作りたいのか見えてこないので、お客さんとコストも含めよく話すことが大切である。

・面白いものや新しいものは、とにかく理屈より笑われたって体を動かして作ってしまうことが一番である。また、現場を体験することで、クリエーターは成長しできることが増えるため、それに伴ってビジネスも拡大する。

・2012年より CMビジネス開始。「CM の CM 」を作り放送。内容はBM(ビジネスメッセージ)で B to B 向けの CM がほとんどないため着手した。主に日経(テレ東・BSジャパン)で放送し、現在では100本以上になった。自社で直接作り、下請けには出さないのがヒューマンセントリックスのスタイル。

・動画制作について:1.目的があって手段(表現・デザイン)がある。どこで→何を→どう伝える→どう使う のプロセスが大切である。 2.安価で手に入る素材の活用する。素材をどう意味のあるものに組み合わせるかで実際に撮影しなくても良い動画は作れる。お客さんにとって分かりやすい・使いやすいのが目的であって、技術はあくまで手段である。 3.バイラル動画とはインパクトがあって拡散しやすい動画である。クリエーターの自由が前提であり、面白いものを作りたいなら、いいかどうかわかんないけど作ってしまえのチャレンジが大切である。また、お客さんとの信頼関係があって成り立つものである。 4.コンテンツに付加価値を付ける。アイディアや編集技術、遊び心で一手間、二手間かけることでより喜ばれる動画になる。

 

ー講義からの学びと気づき

「クリエーターは追い込まれると発想が小さくなり、良いモノを作れなくなってしまう。クリエーターにとって自由は大切でありストレスのある仕事は良くない。ワクワクして取り組めないのは良くない。」

今までクリエーターは楽しいこともあるけれど苦しいからこそものが出来るという考えが多いように感じていました。それが正しいのかどうか分からずにいましたが、そうやってつくられたものが人を幸せにするのだろうかと思っていました。今回の講義を受けて、そうじゃないんだと気づくことができました。もちろん仕事である以上大変なこともあるし、お金をもらってやるからにはそれに見合う出来のものを作らなくてはなりません。しかし、仕事をする人にも守られるべきものや尊重されるべきものがあります。より良いモノを作るために環境やモチベーションを上げるための工夫の大切さが良く分かりました。

「コスト意識が大切」 会社としてやっていくうえでコストや利益は重要なことです。営業職がお客さんを誘導して予算や企画内容をきちんと決めることで、整理された情報がクリエーターに伝わり、お客さんに振り回されたり、やり直す負担を減らすことができます。

初めに直接話を聞くことが大切であるとありましたが、クリエーターが仕事に集中できるようにするためにこれはすごく良いことだなと思いました。本人が直接聞かなくてもしっかりと物は作れるんだと分かりました。

「3つの成功」:1お客さんの喜び・満足 2チームの達成感 3利益が出る(利益が出ないのは案件を安く請け負ったか、クリエーターがそれ以上にやってしまった場合)

 

本講義から動画制作だけではなく自分が働きたい会社を決めるための指針を得ることができました。

以上、中村寛治さんの講義まとめでした。ありがとうございました。 

特別講義ー未来のデザインー デザインの未来の問い

2017.6.26 第10回の講師の方は山崎和彦先生です。

本日の講義内での事例紹介、学びと自分なりの考えを以下にまとめました。

 

山崎和彦 / Kazuhiko Yamazaki

- 千葉工業大学  先進工学部 知能メディア工学科、工学研究科 デザイン科学専攻 教授

  情報デザイン、プロダクトデザイン、ユーザーセンタードデザインが専門。

こちよい体験という視点より、プロダクト、インタフェース、Web、グラフィックなどの多様なデザイン分野を総合的に企画・デザインする。企業と協業しながら実践的なプロジェクトを推進する。 みらいの演奏、お祭り、親子の教材、感性照明、エコデザイン、遊具、カフェなど、みらいのデザイン(新しいデザイン領域)にも積極的に挑戦。

 

ー事例紹介

ポートフォリオ掲載作品、一例

ThinkPad、充電コード(IBMとの共作)

smile Project の webインターフェース(先生のお気に入りの作品)

PCのパッケージ:中に行くにつれ色に変化を付け開封していくドキドキ感を演出。

PCのマニュアル:色で分け専門的言葉に頼らず、どのマニュアルなのか分かる。

ノートPC用インプットデバイス

企業のコンサルティングやプロトタイプ制作:これからのデジタルの活用について

インタラクティブな洗面化粧台

リビングにおけるプロジェクションテレビ:テレビではないコンテンツを見られる

英語を学ぶデバイス:断片的に学んでいたものを一つにまとめ学習効率を上げる

インタラクティブ照明

ガスの使用量をワイヤレスで会社に伝える

Stainle Zoo:ステンレスを使用した動物型のアクセサリー

 

・未来のデザイナーになるための模索

1.大学での新しい学び

・知能メディア工学:コース分けがなくプログラミング、デザイン、人工知能すべてを学ぶ学科。課題で提案をして実装したり、美しい形や色を学ぶための講義を組む。

2.めのスタートアップ

・植物とIoT ・スタートアップ :IT と IoT でより良い植物との関わりを作るサービス。メンバー全員でプランターやセンサーを作って実際に植物を育てる。また、モニターに使用してもらいデータを収集し改良を進める。

3.おとなの学びの支援

・Xデザイン学校 ・新しいデザイン学校・学び続けるためのデザイン・スタートアップ:デザインを知らない人や学んだけれど役に立つことをもう一度学びたい人のために学校を立ち上げ支援する。

4.シニアの学び

・熱中小学校 ・廃校の活用 ・大人の学びをデザ:今までに自分が作ったもので思い出に残っているものをペーパープロトタイプで再現する。活動内容をデジタルでまとめ公開。現在、全国8か所で開催。

5.VIVITA

・子供のスタートアップを支援:子どもの未来は子供が作るという考えのもと、子供が思いついた固定観念にとらわれない面白い発想を技術的に支援する。

6.SUSANOO

・大人のスタートアップを支援する:地域や社旗に貢献する「ソーシャルスタートアップ」を支援するため、社会に役立つリアルな学びを提供する。

 

ー講義からの学びと気づき

時代は変わりつつある。未来のデザインも今とはまた違うであろ。未来のデザイナーになるためには、自分自身が一歩外に出て経験することである。また、新しいことを始めるためには、自分の知らないフィールドや違う対極にある世界に行くことで外から見えてくる。1つの基準ではなく2つの視点からモノゴトを見ること。

「人は 思い出 = 大事な経験 が大切である。」

現在の社会はめまぐるしく変化し、デザインも大きく変わり領域を広げています。その中で生き残っていくためにはどんどん新しいことを学ばなくてはなりません。しかし、やみくもに知識を入れていくのではなく、自分から動いてモノを作ったり考え出すことが大切だと思いました。大変なこともたくさんあるけれど自分自身が楽しみながらできるといいなと思います。

 

山崎先生には学部時代から講義をしていただいていますが、今回の講義で先生の活動や考えを詳しく聞くことができました。原点を聞くことができたのが良かったです。

「家が中古の家電を売っていたが、説明書がついていなかったため機械に興味のあった山崎先生が使い方をお客さんに教えていた。 その時からモノを見るとなぜその形なのか意味を考えていた。」これが山崎先生の原点です。後に自分で形やボタンの位置を作りたいと思ったことがデザインだと分かりデザイナーになりました。

以上、山崎和彦先生の講義まとめでした。ありがとうございました。

特別講義ー未来のデザインー エクスペリエンスデザインによる価値の創出

2017.6.19 第9回の講師の方は井登友一さんです。

本日の講義内での事例紹介、学びと自分なりの考えを以下にまとめました。

 

井登友一 / Yuichi Inobori

- 株式会社インフォバーン 取締役 京都支社長

ユーザー中心発想によるマーケちぃんぐコミュニケーション領域のコンサルティング事業に従事。インフォバーン入社後、企業とユーザー双方にとって幸せを生む最良のコミュニケーションを主にデジタル領域において設計・デザインする支援事業に注力。

日本プロジェクトマネジメント協会(PMAJ)認定 プロジェクトマネジメントスペシャリスト(PMS)人間中心設計推進機構(HCD-Net)認定 人間中心設計スペシャリスト

 

ー事例紹介

・”経験=価値”

現在世界中で使われているサービス(Google,Amazon,Facebook,Uber等)に共通することは「モノではなく経験を提供している」ことである。その企業が作っているモノがなく運営している。これらの企業は場(プラットフォーム)と体験(経験)だけを提供している。

・モノから経験へ

コモディティ → 製品 → サービス → 経験 → システム  と提供されるものの価値が変化してきた。コモディティからサービスまでの流れは services と数えられる小さなものであったが、経験からシステムは service と大きく包括的なものになった。経験は人々がわざわざ選んで高いコストを払ってでも得たいものである。

・価値の支配論理の転換

グッズ・ドミナント・ロジック(GDL)→  サービス・ドミナント・ロジック(SDL)への転換。GDLではモノとサービスを切り離すことができたが、SDLではサービスの中にものが含まれ一体化している。SDLはサービスデザインの根幹にあり、使用価値・経験価値を提供するものである。

・サービス・ドミナント・ロジックの例

1.複合コピー機:ユーザーのデータを収集し、分析することで事前に壊れることを予測しサービスを提供する。ユーザーデータの提供とサービスの提供によりお互いの価値を交換でき、価値共創が生まれる。

2.スマートフォン:端末自体に価値があるのではなく、それを通して提供されるアプリに意味があり重要になって来る。

3.カーシェア:車を所有することではなく、使用する体験に価値が生まれる。

4.kindle:他のタブレットと差別化し快適にコンテンツを楽しめる。

5.医療機器:モニタリングしデータをとることで壊れる前にアップデートすることができる。

これらは対価と引き換えに消えていく価値(消費)から共創していく価値になってきた。

 

ー講義からの学びと気づき

イノベーション・トライアングル

→ 何ができるか(技術)・何が望ましいか(ユーザの喜び)・何が現実的か(市場性)

今までの日本は技術と市場性を追い求めた結果、多機能化・低価格化が起きてしまった。そこで、ユーザーの声を聞くようにしたが、聞いたことを反映しすぎてしまったためテレビのリモコンのような複雑なものが出来てしまった。

このように生活者に今欲しいものを聞いても本当のニーズは見つからない。なぜなら、生活者は目の前にないものは思い描けないため、本当のニーズを自覚して言えるのは5%ほどしかないからである。

ユーザー調査の大切さは今までの演習授業でも学んでいましたが、自覚していない本当のニーズを見つけ出す難しさと重要性を改めて認識しました。本質的ユーザー理解の先にあるのは理解より共感であるということが分かりました。

・ユーザー中心:誰にどんな価値があるか

作り手の都合から脱却しユーザー中心でものを作ること、企業のゴールとユーザーのゴールを合わせていくことが必要である。また、「誰に、どんな価値を、どのように提供するか」を適した手法を用いて実現することが大切である。

・インプット:隠れたニーズ と アウトプット:分かりやすい表現

インプットとアウトプットの2つを合わせたインサイト(洞察)で、発見や感動を生む無意識を理解しようとすることが大切である。

 

本講義で一番残った言葉は「ユーザーの先回りをし、嫌な思いをさせずに提供する。」というものです。自分もこれを実践できるようになりたいです。

 

以上、井登友一さんの講義まとめでした。ありがとうございました。

 

特別講義ー未来のデザインー インフォグラフィックスデザインと当事者デザイン

2017.6.12 第8回の講師の方は富田誠さんです。

本日の講義内での事例紹介、学びと自分なりの考えを以下にまとめました。

 

富田誠 / Makoto Tomita

- 東海大学教養学部芸術学科デザイン学課程 専任講師

・経歴

 1982年北海道生まれ。

 武蔵野美術大学 基礎デザイン学科 原研哉ゼミ、卒業。

 早稲田大学大学院 国際情報通信研究科、修了。

 二つのシステム・デザイン会社を設立し、早稲田大学政治学研究科助手を経て

 現在、東海大学教養学部専任講師、早稲田大学大学院政治学研究科 非常勤講師、

 一般社団法人 サイエンス・メディア・センター及び

 一般財団法人 ニッポンドットコムのシステム・デザインアドバイザー

 経済産業省インフォグラフィックスプロジェクト「ツタグラ」アドバイザリーボー

 ドメンバー等を務める。

 

ー事例紹介

・大学時代は「デザインどのように社会に応用していけばよいか」を研究し大学4年時にトリオンサイトデザイン組合を設立。デザイン×経営、デザイン×技術として活動し、より高度な研究をするため大学院に進学。

 ・2011.4月から東海大学の講師に着任。この年の3月に起きた地震により発生した福島第一原発事故を受け、社会的に専門的なことをより分かりやすく伝えることが求められるようになった。このことからインフォグラフィックスの必要性を感じ、大学での講義や研究を行うようになった。

・上述の通り専門的な分野の情報をグラフィック的にデザインしようとしたが、統計データを読むことに失敗。

・デザイナーが専門的なデータや統計をきちんと読むことは難しい。そこで統計の専門家とデザイナーが組織的にインフォグラフィックスに取り組むことが行われるようになった。(オットー・ノイラートのヒント)また、大学の講義でもデータサイエンスを学ぶ学生とデザインを学ぶ学生がコラボしインフォグラフィックスを学ぶことをした。しかし、学生同士がお互いを嫌いになって終わってしまった。上手にいくためには関係性の質を高める必要があり、お互いのやることを分断せずに相手の話を聞きながら進めることが大切である。ここで、重要なのは「デザイナーが相手を敬い、話に敬意をもち、引き出して形にすること。」である。

・政府の会議報告書を視覚化するプロジェクトを開始。同時に、リアルタイムで会議の内容を視覚化できないか試みる。会議中に要約されたものを近い発言同士でまとめ視覚化したり、タブレットを使い直接書き込み共有しながら進めてもらったりした。直接書くことで、短時間で深いところまで議論が進む。新たに2次元で表現していたものを3次元で表現することにも取り組んだ。

・ここまでの取り組みから、専門家(デザイナー)自身によるデザインと当事者(行政、研究機関等)によるデザインがあり、後者を当事者デザインと定義した。この当事者デザインを我々デザイナーが支援していく必要があると実感。

・当事者デザインとしてポンチ絵プロジェクトを開始。ポンチ絵制作者が放言しているものを収集し分析することで、作る際の基準を作り学びの場を提供できる。この見方で当事者に接していると相手ができるようになるためのプロセスを継続的に進められるようにすることを考えるようになった。

 

ー講義からの学びと気づき

今回初めて「当時者デザイン」というものを学びました。自分がデザインするときは自分やクライアントの中にあるものを深堀して形にしますが、当事者デザインでは本人がやりたいと思うことを引き出し支援しなくてはなりません。実際にそのようなことをした経験がなく、すごく難しいように感じました。しかし、これからの社会ではとても必要なことだと思いました。

また、当事者がデザインできるようになるためにはデザイナー側がより表面的ではなく学問としてもデザインに詳しくならないといけないと同時に、当事者と取り組むときの姿勢を考え、一緒に新しいものを作っていく必要があるのだと思いました。

今回の講義は、これからのデザインのプロのあり方について考えるきっかけになりました。

 

以上、富田誠さんの講義まとめでした。。ありがとうございました。

特別講義ー未来のデザインー webとアートとテクノロジー

2017.6.5 第7回の講師の方は田中良治さんです。

本日の講義内での事例紹介、学びと自分なりの考えを以下にまとめました。

 

田中良治 / Ryouji Tanaka

-webデザイナー

1975年生まれ、三重県出身。

同志社大学工学部・岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー卒業。

2003年、セミトランスペアレント・デザインを設立。

TIAAカンヌ国際広告祭、クリオ賞、One ShowLIAANew York ADCDADなど

国内外の広告賞を多数受賞。

インスタレーション展示など、その表現領域を広げている。

 

ー事例紹介

SONYビルとBRAVIAの連動 webサイト(web広告)の制作。リアルとネットを繋げるweb広告の先駆けになった。かかるコストや関わる人の規模が大きく、交渉もしなくてはならず責任が重かった。これを機に、違う角度から取り組みたいと思うように。

トーマス ルフの webサイト。展覧会に合わせて作られたサイトでコンセプチュアルなものである。様々な人にテキストを書いてもらい掲載した。

・KOE Thom Browne の webサイト。海外サイトを日本語版にしたときのフォント感やバランスの悪さの残念感を強調し制作。

・HIOS の webサイト。工業系の商品を扱うサイトの為ストイックな表現をした。

これらの webサイトはブランドに合い面白さのあるものを制作している。

・バイオテクノロジーアートの展覧会の背景等の制作。心霊写真のような人の見間違いをテーマにした。当初まだ発達していなかった人工知能を使い、人間が表現しないようなものを造らせた。

・1つとたくさんの椅子 ジョセフ・コスースの作品をもとに制作したインスタレーション作品。

webサイト以外にm多くのアート作品を手掛けている。

 

ー講義からの学びと気づき

webサイトは理屈優先で作られてしまうことが多いが、言葉を交わさなくても見ただけで面白いと思ってもらえたこと(ANDO GALLARY webサイト)が田中さんにとって作るモチベーションのため良い体験になったそうです。自分が責任をもって自分が作る。田中さんにとっての作るモチベーションはクライアントに満足してもらうのが前提として、尊敬するグラフィックデザイナーに面白いと思ってもらえるものを作ることだそうです。

やはり面白くて新しいものを作るには、ただクライアントに満足してもらうだけではだめなのだと分かりました。

また、アートは分かる人に向けて作りたいとおっしゃっていました。田中さんの分かるとは知識があるからわかるのではなく、経験しているから分かるということだそうです。「知識を前提としてではなく、経験している人に分かってもらいたいという思いで作品を作っている。」

アートを理解するには知識がなくてはその作品を分かることは難しいと思っていましたが、このお話を聞いて特に現代芸術は、自分の中に解釈のきっかけがあるのだと思い、もっと気楽に、頭ではなく心を敏感にして鑑賞してみたいと思いました。

田中さんの作品はテクロロジーを使っていても、すごいテクノロジーだという印象を受けないものを作っていいます。なぜなら、テクノロジーが当たり前になってしまうと見えなくなってしまうものがあるからだそうです。意図的にハイテクを隠しタイムレスな作品になるようにしているそうです。「作るものにテクノロジー以外の豊かさがあるか。」テクノロジーを凄さや目新しさを追求した作品もありますが、それは一時的面白くてもすぐに会生きてしまうなと思いました。

「新しい人が古くなっていく。そうならないためには、自分で考えて模索しながら、自分なりに体系化していく。」

 

以上、田中良治さんの講義まとめでした。ありがとうございました。